更年期障害と痛み:漢方 コラージュ 代官山
コラム
二か月前頃より朝起きる頃、手指の関節が
痺れるように感じて痛み、浮腫みもあります。
このような症状でお困りのFさんが相談に来ました。
整形外科を受診して検査を受けましたが、
異常はありませんでした。
婦人科を受診するとホルモン治療を進められ
ました。
Fさんは定期的に乳腺外科を受診していました。
左の脇のリンパ腺の腫れがあるためです。
乳腺外科医はリスクを考えてホルモン治療は、
できるだけ回避したいとの事でした。
そこでFさんは、漢方治療を希望されたのです
。
F(女性)さん 50歳 168cm 49kg 会社勤務
主訴:明け方の手指の痺れ・痛み・浮腫み。
身体的特徴:
暑がりで夏はエアコンを使用。冷え性は無い。
湿度・気圧の影響は無い。気象病は無い。
大便は2日に1回。やや硬い。
小便は日中5回とやや少なめ。夜間はなし。
日中あまり水分を欲しない。
夕方、足首の浮腫みがある。
冬でも足の裏がほてる。
三ヶ月前より生理は来ていない。
症状分析:
Fさんのお困りの症状を漢方ではどのように
考えたら良いのでしょうか。
手指の痺れ・痛みについては、冷える・血の不足
・熱、この三つの原因を考えます。
例えば氷水に手指をつけますと、痺れてジンジン
して更には痛くなってきます。
また、手指を輪ゴムでしばって血液が廻らなく
なりますと、氷水につけた時と同じように
痺れてジンジンしてきます。血の不足です。
更に手指の炎症がありますと熱感とともに、
痺れたり痛くなったりします。熱が原因です。
漢方では手指の痺れ・痛みの原因を、このように
考えるのです。
Fさんの場合は、身体的特徴より冷え性は無い
ので、冷えの原因は否定されます。
そして、手指の炎症や腫れも無いので、
熱による原因も否定されます。
そうしますとFさんの痺れ・痛みの原因は、
血の不足になります。
そこで、血の不足が正しいのかを確認
しなければなりません。
Fさんの年齢は50歳、そして三ヶ月より生理が
来ていません。更年期の時期と言えます。
このような状態で手指の痺れ・痛み浮腫みが
発生しているので、更年期障害と判断する事が
妥当と思われます。
女性は10代の頃から生理が始まり、50歳を
過ぎた頃から閉経になります。
見方を変えますと毎月生理があったわけですが、
閉経はその余力が無くなったとみることもできます。
漢方では、この状態を陰陽が虚して血も不足
した状態と考えます。
閉経の前に生理のときの出血量が単に少なければ
血の不足でよいのです。ところがFさんは、閉経
の状態に入っています。そうしますと血の不足
だけでなく、陰陽の不足も考える必要があります。
Fさんは、朝方の手指の痺れ・痛みの他に浮腫みを
伴います。この浮腫みは水の偏在を意味します。
人体の70%近くは水でできています。
この水が人体の各所にバランスよく存在して
いれば健康と言えます。ところがなんだかの
要因で水が偏在しますと浮腫みとなります。
Fさんには、陰陽を補う目的で桂枝湯をベースに
血の不足にたいして当帰を、水の偏在には
蒼朮・茯苓・沢瀉を加えて服用して頂きました。
4週間服用した頃より、症状は軽減していき、
8週間の服用した頃には、手指の症状は
半減しました。
都合三ヶ月の服用でほぼ症状は消失したため
服用を中止して様子を見ています。
漢方 コラージュ
漢方研究会 コラージュ
代官山 東京