月経不順とPMS(月経前症候群)
コラム
42歳の女性で会社勤務のFさんが、漢方相談に
来られました。
中学生と小学生のお子さんがいるママさんです。
お困りの事は、月経不順とPMS(月経前症候群)
です。2年ほど前から少しずつ症状が強くなって
きました。
・最近の3回の月経を見ますと
5月18日~5日間 痛み(軽)量(正常)血塊(-)
6月10日~4日間 痛み(軽)量(少ない)血塊(少し)
7月17日~5日間 痛み(軽)量(少ない)血塊(-)
このように早くきたり、遅くきたり、不定期型。
月経痛や血塊は、問題ありませんが、ここの所
量が少ないのが気になりだしました
・PMS(月経前症候群)について
月経が始まる一週間前頃より、イライラが強く
寝つきが悪くなります。イライラは家族の方も
分かるようです。
一応婦人科を受診しましたが、特に問題はありません
イライラについて安定剤の処方を提案されましたが、
本人は漢方処方を希望されました。
Fさんの月経に関する問題点を、漢方ではどのように
考えれば良いのでしょうか。
☆漢方の考え方
月経の周期は、正常であれば28日~30日のサイクル
できます。
ところがFさんは、早く来たり遅くなったりします。
月経の周期をコントロールする働きを漢方では、
「疏泄(そせつ)」と呼びます。
疏泄とは、気の流れを意味します。
気の流れがスムーズでなくなり、滞りが起こると
症状として現れます。
例えば、高速道路で故障車や事故などが起これば、
流れは停滞して渋滞がます。
人体においては、ストレスなどが気の流れを
停滞させてしまう代表的なものです。
Fさんの月経の周期が不規則になってきたのも、
この疏泄の働きに問題があるのです。
もう一つのPMSです。
月経が始まる一週間前からイライラが増して
きます。寝つきも悪くなります。
これはあきらかにメンタルの問題になります。
この症状も実は疏泄の働きと密接に関わるのです。
全身をスムーズに流れる気の働きに影響が出たのです。
Fさんは、2年前頃より会社での人間関係や子供の
PTAの行事とか、心理的な負担が増えたようです。
このストレスが疏泄の働きに影響を及ぼして、
月経の周期の不定期、さらに月経前症候群を
招いたと漢方では考えられます。
そこで漢方では、どのような薬物を用いて
治療するのでしょうか。
まず疏泄の働きをスムーズにするのが、
柴胡+芍薬の組み合わせになります。
この二種類の薬物をしっかり入れる事で、
疏泄の流れは良くなります。
そして、ここのところの月経では量が少ない
のが気になります。これは血の不足です。
血を補う薬物は当帰になります。
そこでFさんには、柴胡+芍薬+当帰をメイン
にした処方を組んで服用してもらうことに
しました。
このようにホルモンと自律神経の不調には、
運動がとても良いとされています。
適度な運動は心地よい汗もかきますし、
運動による筋肉疲労は眠りに効果があります。
お勤めをしながら家庭の仕事があるFさんには、
スポーツクラブなどに通う時間がありません。
そこで時間のあるときはなるべく、一駅分
歩いてもらうことにしました。
20分のウオーキングでも効果はあります。
このように漢方薬の服用とウオーキングを
組み合わせることによって、一か月経過した
頃から体調が良くなりました。
その後月経の周期も安定するようになると、
PMSも徐々に落ち着いて来ています。
現在三ヶ月服用したところですが、7割程度
症状は軽減していますので、もう少しの服用で
漢方薬の必要もなくなると思われます。
漢方コラージュ代官山
漢方研究会 コラージュ
戸田一成
代官山・東京