コラム

気象病:雨や台風とめまい

コラム

雨が降って湿度が上昇するとファーと

軽くめまいがあったり、台風が来ると

強い回転性のめまいになったり、

とてもお困りのSさんが漢方相談に

来られました。

Sさんは36歳の女性でスタイリストの仕事を

しています。

Sさんも立派な気象病です。

雨や台風で気圧が下がり湿度が上昇すると、

めまいになる方が女性に多く見られます。

漢方の考え方では、気圧が下がると

気の流れに異常がおこります。

そして、体内の70%を占める水の偏在が起こります。

めまいの場合は、この水の偏在が

内耳の三半規管で起こります。

但し通常の雨の気圧の下がり方と、

台風のように強烈に気圧が下がる場合は、

条件が異なります。

気象病と言っても、いろいろな

パターンによって治療が異なります。

 

☆そこでまず、台風の時の強い回転性の

めまいについて考えてみましょう。

台風の特徴は、何と言っても急激な気圧

の低下です。

気象病として最も分かりやすいです。

この気圧の急激な低下が、身体の気の

流れ異常をきたします。

そこで、気圧と身体の関係を見て

みましょう。

気圧が高いと身体の外から内に向かう

力が働きます。

反対に気圧が下がりますと、身体の

内から外に力が向かいます。

そこで一番影響を受けるのが、身体の

70%を占める水になります。

台風のように短時間で一気に気圧が下がり

ますと、身体の内部の水は外の向かって

行きます。これが皮下に行きますと、

浮腫みになります。

そして、頭内に水が溢れますと頭痛になり

ます。気象病で一番多いのが頭痛です。

また、特異的に三半規管に水が集中しますと

強烈なめまいになります。

このような強い目まいも気象病の特徴です。

このように台風の場合は、あまりのも短時間で

急激に気圧が低下するため、身体の気の流れの

異常より、体内の水の偏在の方が問題になります。

台風による強い目まいに対しては、急激に起こった

三半規管の浮腫みを素早く解消する必要があります。

今から1800年前に書かれました『金匱要略』と

言う書籍に、このような強い目まいに対応する

処方が記載されているのです。

『金匱要略・痰飲咳嗽病篇』に、「心下に支飲

有り、其の人冒眩に苦しむは、沢瀉湯之を主る。」

とあります。

「心下に支飲有り」とは、普段から胃に過剰な

水があり、ごぼごぼした状態です。

そして、「冒眩に苦しむ」とは目まいに苦しむ

事になります。

台風のように短時間で急激に気圧が下がり、

水が三半規管に集中して溢れて目まいに

なる状態には、この沢瀉湯が適応となります。

沢瀉湯の組成をみますと、沢瀉と朮の二つの

薬草だけです。とてもシンプルな処方です。

沢瀉と朮は、どちらも過剰にある水の偏在

を調節してくれる働きがあります。

台風によって起こる気象病の目まいには、

沢瀉湯が第一選択処方になります。

 

☆次に普通の雨の日の目まいについて、

見ていきましょう。

台風では無く普通の雨ですと、気圧の下がり

方は緩やかになります。

まず、気圧が下がり体内の気の流れに異常が

起こり、そして体内の70%を占める水が

身体の外に向かって行きます。

ここでは、やはり三半規管に水が行きます。

ただこの一連の流れは、台風に比べますと

穏やかになります。気象病にも程度の

違いがあるのです。

このような通常の雨の日の目まいには、

今から1800年前に書かれた『傷寒論』

の中に適応する記載があります。

「傷寒、若しくは吐し、若しくは下して後、

心下逆満、気上って胸を衝き、起きれば

則ち頭眩し、脈は沈緊、汗を発すれば則ち経を

動かし、身振振として遙をなす者は、

苓桂朮甘湯之を主る。」

「起きれば則ち頭眩」とは、立ち眩みのような

目まいです。

「身振振として遙をなす」とは、身体がフラフラ

揺れるような目まいのことを言っています。

台風の時のような強い回転性の目まいとは、

異なります。

台風のような激しい目まいでは無く、

通常の雨の日に起こる気象病の目まい

には、苓桂朮甘湯が第一選択処方になります。

 

そこでSさんには、平素は気象病である

雨の日の目まいに適応する苓桂朮甘湯を

服用してもらい、

台風が来るときは3日前より沢瀉湯を

服用して頂く事にしました。

このように処方を使い分ける事によって、

服用して三ヶ月しますとほとんど、

目まいが気にならなくなりました。

そこで漢方薬の服用を中止して、

様子を見る事になりますが、

生活習慣の中で見直さないとならない事

をそのままにしておきますと、やはり

再発してしまいます。

そこでSさんには、以下の事をお話しました。

 

☆Sさんの生活習慣の注意点

Sさんには、日常の生活の中で協力して

頂く事があります。

Sさんのように天気が崩れると目まいに

なる気象病の方の多くは、乗り物に酔いやすい

傾向があります。

目まいと乗り物に酔いやすい事には、

共通点があるのです。

それは、身体の水はけが悪く浮腫みやすく

体内に過剰な水がある事です。

これは気象病との関わりにおいて、

とても重要な事なのです。

そこで、生活の中で体内に過剰な水を

ためない工夫が必要です。

まずは水分を取り過ぎない事です。

ついつい気分転換に飲んでしまうお茶や

コーヒーの飲みすぎに注意です。

それとSさんが好きなビールもセイブ

しなくてはいけません。

このように一日を通しての適正な水分

の取り方が重要になります。

 

あともう一点。

身体に取り込んだ不必要な水を体外に

出す事です。

これは、身体の代謝を上げる事で結果が

でます。

一番は、ウオーキングやランニングなど

筋肉を刺激する事です。筋肉は第二のポンプ

と言われるように、身体の不必要な水を

排出するのにとても重要な役割をします。

気象病と筋肉の絶対量は密接に関係します。

アスリートの方々には、気象病がほとんど

いないのです。

しかし、現実的にウオーキングやランニングは、

なかなか取り入れるのも難しいです。

そこで、場所を選ばずどこでもできる、

ストレッチを日常の生活の中で取り入れ

てもらう事にしました。

気象病においてストレッチは非常に

効果的なのです。

 

漢方 コラージュ

漢方研究会 コラージュ

代官山・東京

 

 

 

 

 

 

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