『未来をつくる言葉』ドミニク・チェン著
研究会
☆ドミニク・チェン
早稲田大学文化構想学部教授
専攻:学際情報学
1981年生まれ フランス国籍
日仏英のトリリンガル
☆本書を読み終えて…
これは、正しく漢方における古典の理解に
繋がる文脈と思えた。
本書の副題として
「わかりあえなさをつなぐために」とある
☆本文抜粋
結局のとこころ、世界を「わかりあえるもの」と
「わかりあえないもの」で分けようとする
ところに無理が生じるのだ。
そもそも、コミュニケーションとは、
わかりあうためのものではなく、
わかりあえなさをお互いに受け止め、
それでもなお共に在ることを
受け容れるための技法である。
「完全な翻訳」などと言うものが不可能
であると同じように、
わたしたちはお互いを完全にわかりあう
ことなどできない。
それでも、
わかり合えなさをつなぐことによって、
その結び目から新たな意味と価値が
湧き出てくる。
以上 ドミニク・チェンさんの言葉
☆漢方とは、そもそも曖昧なもの。
処方が初めて登場する、傷寒論・金匱要略。
漢方は、ここから始まる。
それは、1800年前?の出来事。
気の遠くなる程の人体実験の結果、
生まれたものと言われている。
その年代の思考や感性を理解するのは、
容易な事ではない。
故に漢方とは、曖昧模糊としたものと
言わざると得ない。
この曖昧さを排除して、
スッキリと分かりやすくしたものが、
現代中医学である。
☆臨床において結果を出せるか?
漢方は曖昧なものと認識しつつ、
毎月レッスンをしている中で、
ドミニク・チェンさんの書籍に出会い、
腑に落ちた。
「完全な翻訳などと言うものは不可能」
であり
「完全に分かりあうことなどできない」
古の医学において、完全に理解しょうと
思う必要もないのである。
チェンさんが言う、
大切なことは、
「わかり合えなさをつなぐことによって、
その結び目から新たな意味と価値が
湧き出てくる。」
漢方の曖昧さを感受しつつ、
現代における疾病に適応できるように、
「新たな意味と価値」
すなわち、創造性豊かに新たな治療に
チャレンジすれば良いのである。
経方理論のもつ深淵な曖昧さ….
ここを追求することが、
臨床における結果に繋がるものと思う。
Lab collage
戸田一成
代官山 東京