コラム

気象病:漢方で考える、雨の日頭痛のメカニズム。

コラム

今回は漢方で考える、雨の日・梅雨・台風

・秋雨などにより起こる、気象病・頭痛のメカニズム

についてのお話しをします。

女性の方に大変多く、頭痛だけでなく浮腫み・

冷え性・めまい・しびれ等を伴います。

雨が降り出す時は、気圧が下がり湿度が上昇

します。このような条件が揃うと、なぜ

雨の日頭痛が起こってしまうのか?

漢方では、気象病を次のように考えます。

 

まず気圧が下がりますと、気の流れに異常が

起こります。さらに詳しく説明しますと、

身体の中で「上に昇る陽気」が不足するのです。

この状態を漢方では、「上衝」と呼んでいます。

今から約1800年前に書かれました『傷寒論』と

言う書物にその記載があります。

『注解傷寒論』15条

「太陽病、之を下した後、其の気上衝する者は、

桂枝湯を与う可し。方は前法を用う。

若し上衝せざる者は、之を与う可からず。」

「上衝」すなわち、身体の「上に昇る陽気」が

不足したら、桂枝湯を服用させなさいと。

「上衝」が無ければ、与えては駄目ですよ。

桂枝湯だけでなく、桂枝湯の中に含まれる

桂枝甘草湯も適応になります。

さらに桂枝(シナモン)だけでもその働きが

あります。

このように気圧が下がると、漢方で考える

「上衝」と言う病理が出現しやすくなるのです。

この「上衝」も気象病をの特徴の一つです。

もう少しイメージしやすくお話しますと、

学生の頃、朝礼で少し長く立っていると、

真っ青になって倒れてしまう女子がいたと

思います。これは、一時的に血圧のプレッシャー

が弱まり、脳貧血になったためです。

これが漢方で考える、「上に昇る陽気」が不足

した状態です。

ですから脳貧血を起こしやすい女性は、

気象病である雨の日頭痛になりやすいのです。

さらにもう一つは、気圧が下がった後に

湿度が上昇します。

この湿度の上昇が体内の水の変動を

引き起こすのです。

漢方の考え方では、

水が頭内で過剰になると頭痛に、

三半規管で水が過剰になるとめまいに、

手足で水が過剰になると浮腫みになります。

そこで漢方では、この水の偏在を調整して

頭痛・めまい・浮腫みを解消するのです。

この水の偏在を調整するのが、蒼朮・茯苓

と言う薬物になります。

先ほど述べました、気の流れの異常を是正する

桂枝・甘草に、水の偏在を調整する蒼朮・茯苓

を合わせてた処方が苓桂朮甘湯です。

気象病である雨の日頭痛の第一選択処方になります。

この処方は、今から1800年前に書かれた

『傷寒論』が出典です。

『注解傷寒論』67条

「傷寒、若しくは吐し、若しくは下した後、

心下逆満し、気胸に上衝し、起きれば則ち

頭眩す。脈は沈緊し、汗を発せば則経を動じ、

身は振振として揺ぐを為す者あり、

苓桂朮甘湯を主る。」とあります。

気圧が下がり、気の流れに異常が起こり、

「気胸に上衝し」とあるように、「上衝」

すなわち「上に昇る陽気が不足」します。

ここの状態を対応するのが、桂枝です。

そして、「身振振として揺ぐを為す」とは、

身体がゆらゆらと揺れているような眩暈の

事です。この目まいの原因は先ほど述べま

した水の偏在なのです。

このように、上に昇る陽気が不足して、

さらに水の偏在が目まいとなり、

そしてこの目まいを頭痛に置き換えて

気象病・雨の日頭頭痛の治療にもいかせるのです。

この苓桂朮甘湯に水の偏在を調節する沢瀉

と生姜を加えた処方が茯苓沢瀉湯です。

この処方は今から1800年前に書かれた

『金匱要略』と言う書物が出典です。

「嘔吐噦下痢病篇」に書かれています。

「胃反、吐して渇し、水を飲まんと欲する者は、

茯苓沢瀉湯之を主る。」

もともとは、嘔吐の治療に用いてました。

それが現在では、気象病における雨の日頭痛などに

応用されるようになったのです。

ですから、目まいや頭痛には、苓桂朮甘湯や

茯苓沢瀉湯が良く使われるのです。

但し気象病の方の素体の違いによって、

茯苓沢瀉湯に加減をしたり、他の処方を用いる

こともあります。

 

さらに気象病の方を多く診ていくと、気づく事

があります。

圧倒的に女性に多く見られます。

そして女性の方の中でも、筋肉が少ないほど

気象病・雨の日頭痛になりやすいと言えます。

気象病と筋肉量の関係について説明します。

筋肉の中には血だけでなく水もたくさん

保有されています。当然、筋肉量が増えれば

保有される水も増えます。

筋肉にある水は正常な生理的な水です。

水の偏在によって起こる水、例えば皮下の

浮腫むなどは病理的な水なのです。

筋肉量が増えますと、正常な水が増え、

浮腫みなどの病理的な水が減少するのです。

そして、筋肉量が多いかたほど気圧が下がっても、

気の流れの異常が起きにくく、さらに水が偏在して

脳において浮腫み難くなります。

気圧低下→上に昇る陽気が不足→水の偏在が起こる

→水が脳に集まり浮腫む→気象病・雨の日頭痛

このような循環から抜け出るには、苓桂朮甘湯や

茯苓沢瀉湯の服用の他に、運動を取り入れて

筋肉量を増やす事がとても重要なのです。

筋肉量が豊富なアスリートの方々は、

気象病にならない。

これらの理由からも頷ける事になります。

 

漢方 コラージュ

漢方研究会 コラージュ

代官山・東京

 

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