コラム

漢方コラージュ代官山:漢方で考える 生活習慣病とニキビ

コラム

年に一回の会社での健康診断で産業医より

いろいろと指摘を受けているGさんが

漢方相談に来られました。

Gさんは33歳の女性、身長159cm、体重80kg

です。3年ほどまえより、LDLや中性脂肪

の値が高くなりました。

腹部エコー検査では、軽い脂肪肝と診断

されています。

最近では、起床後1時間頃の血圧も

高い事があります。

そして、最も気になるのがニキビ。

口の周囲やおでこに赤みの強く大きな

ニキビが散在しています。

Gさんの全身所見

・標準より体重がオーバー

・暑がり

・便秘(3~4日に一回)

・小水は、薄く黄色の事が多い

・口が乾きやすく、冬でも氷の入った

水を好む

・舌に黄色い苔がつく

 

☆Gさんのニキビを漢方では、

どのように考えるか?

ニキビの漢方治療において、皮膚のニキビ

だけを見て治療の根拠にする事は、極めて

稀なことです。

身体において何らかの要素が関係している

からです。

女性のニキビで最も関係が深いのが、

生理です。その他には、ストレスや便秘など

いろいろな要素があります。

Gさんのニキビは、やはり生活習慣と大きく

関わりを持ちます。

そこでGさんに提案をしました。

このままの生活習慣が10年続けば、

糖尿病・高血圧・高脂血症になる確率は

極めて高いと言えます。

そこで一番困るのはニキビなのですが、

生活習慣を見直して、まずLDLや中性脂肪

そして軽度ですが脂肪肝を改善しましょう。

結果、ニキビは改善されていきます。

このような話をさせて頂いたところ、Gさん

より頑張ってみますと、返事を頂きました。

そこで生活習慣の改善のプログラムを作り

まして、実行していくことになりました。

 

☆Gさんの漢方処方

Gさんは、カロリーの過剰摂取と運動が

ほぼない生活により、漢方では体内に

湿熱の邪が盛んになったと考えられます。

その根拠は、暑がり・口渴・便秘・冬でも

氷が欲しいなど、不必要な熱があります。

そして決定的なことは、小便が黄色い事や

舌苔が黄色い事です。この黄色は熱を意味

します。そしてGさんは、必要以上に水分も

取っているので湿熱の邪となるのです。

体内に湿熱の邪が過剰にあるニキビのGさんには、

防風通聖散と言う処方が適合します。

そこで、防風通聖散の出典をみましょう。

『宣明論・中風門』に「中風、一切の風熱、

大便閉結し、小便赤渋、顔面に瘡を生じ、

眼目赤痛し、或は熱は風を生じ、舌強張り、

口噤し、或は鼻に紫赤の風̪刺癮疹を生じ、

而して肺風となり、或は癘風となり、或は

腸風あって痔瘻となり、或は陽鬱して諸熱となり、

儋妄驚狂する等の症を治す」とある。

ここでの諸々の熱がGさんの体内の湿熱と

考えて良いのです。

Gさんに提示した生活習慣改善メニュー、

食事と運動が基本になります。

ここの改善と処方によって体内の湿熱の邪を

解消するために4週間服用して頂いた頃より、

体重がへりはじめました。

三ヶ月の服用で体重が5kgの減少となり、

その頃よりニキビがほぼ無くなりました。

主訴であるニキビは改善されましたが、

さらに体重を70kg以下にする事ができれば、

血液のデーターも正常値になるでしょう。

そこまで頑張って服用すれば、生活習慣病から

解放されると思われます。

カンポウ コラージュ

漢方研究会 コラージュ

代官山 東京

戸田一成

 

 

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