コラム

更年期障害の漢方治療|漢方で考える更年期障害とは?

コラム

更年期とは、

卵巣機能が減退し始めて、

消失する時期をいいます。

一般的には、閉経の前後の5年間になります。

この間に、のぼせ・ほてり・めまい

・頭痛などの身体症状などと、

不安感・憂鬱感・やる気が出ない等の

精神的症状が現れる事を更年期症状

といいます。

そして、これらの症状が日常生活に影響を

及ぼす状態が更年期障害になります。

 

☆漢方で考える更年期障害

 

まず、そもそも月経とは、

漢方ではどのように考えるのか。

初潮(14歳)から閉経(52歳)めで、

毎月月経があることになるります。

毎月一定量の血液の排泄があっても、

身体に影響が及ぼす事がないとしたら、

それは「有余の血」と言えます。

妊娠の環境を整える、妊娠が成立しなければ、

血液を排泄し月経となります。

 

漢方では、更年期症状が現れてから閉経まで

月経があるわけですから、この時期を

「有余の血」と定義しました。

そうしますと、閉経以後はどのように考え

たら良いのでしょうか。

神様が人体を作ったときに、閉経とは

それ以上の排血があると、身体に影響が

及ぼしてしますため、閉経と言うリッミト

を設けたのだと思います。

閉経以降の更年期症状がある時期は、

「損傷の血」と考える事ができます。

 

更年期障害は閉経前後5年間です。

47歳~52歳(閉経) 有余の血

52歳(閉経)~57歳 損傷の血

このように定義できます。

 

☆更年期障害における

有余の血・損傷の血の時期の

漢方治療の違いについて。

 

有余の血とは、まだ月経がありますので、

閉経以降の損傷の血の時期より、身体に

力があると言えます。

月経とは、有り余る血ですので、その時期に

起こるのぼせ・火照りは、漢方では実熱と

解釈します。

 

損傷の血の時期になりますと、有り余る血は

存在しませんので、そこで起こるのぼせ・火照り

は、漢方では虚熱と考えます。

 

それでは、実際の症例で「有余の血」と

「損傷の血」の違いを見ていきましょう。

 

☆有余の血の症例、Sさんの場合。

 

Sさんは、48歳、身長158cm、体重49kgです。

会社に勤務しながら、二人の子供の面倒を

みるお母さんでもあります。

半年前までは、生理の周期が28日~30日で

リズミカルに来ていました。

ところが最近では、3週間位で早く来ます。

その頃より、突然のぼせて顔から汗が

噴き出るようになったり、眠りが浅く

動悸がするようになりました。

そこで婦人科を受診して血液検査をした結果、

ホルモン補充療法を進められました。

しかし、Sさんの家系に乳がんに罹患した方

がいるため、漢方治療を選択しました。

 

基本40代後半頃より閉経(53歳前後)

までの間、生理の周期が乱れてきます。

この周期の乱れ方も人それぞれです。

Sさんのように生理の周期が早く来る場合や、

早く来たり又は遅くきたりと錯雑するタイプ

の方もいれば、徐々に遅くなり閉経を

迎える方もいます。

まず漢方では、リズミカルに来る生理の

周期は、「疏泄(そせつ)」という気の流れ

の働きと考えています。

ところが、加齢や生活習慣の乱れ、そして

ストレスなどにより、疏泄の働きに異常が

起これば生理の周期が乱れると考えて

いるのです。

Sさんも年齢的に更年期の時期でも

ありますし、会社でのストレスや高校生と

中学生の子供たちの事など、とても忙しい

年齢と言えるでしょう。

このような状況ですと、やはり疏泄の働きに

影響が出やすくなります。

漢方では「疏泄失調」と読んでいます。

疏泄という気の流れが悪くなりますと、

さらに身体が化熱してきます。

それがホットフラッシュと呼ばれる、

のぼせになります。そして、発汗が起こり

ます。さらに、発汗後は急に冷えを感じます。

そこで、疏泄の流れを整える薬草が、

柴胡と芍薬になります。

この二つの薬草をコンビで使うことにより

疏泄失調は改善されて行きます。

さらに化熱した状態をクールダウンさせなく

てはなりません。

有余の血に起こる実熱です。

ここで必要な薬草が牡丹皮と山梔子になります。

 

このよう薬草をベースに処方を組んで

Sさんに服用して頂きました。

二か月服用した頃より、

生理が早くきて困る事がなくなりました。

その頃より、のぼせが明らかに軽減して

きました。ホットフラッシュが気にならなく

なると、気持ちも安定してきます。

其の後、生理の周期は遅れがちになりましたが、

ホットフラッシュや睡眠の質が改善されて

きました。

都合六か月の服用で症状の安定をみて、

服用を中止して様子をみています。

 

☆損傷の血の症例、Pさんの場合。

Pさんは55歳、身長156cm 、体重48kg

の女性の方です。

Pさんは53歳で閉経しています。

閉経前2年間ほど更年期症状で辛い

思いをしました。

のぼせや発汗、突然の動悸、睡眠障害

などです。

そして閉経後はこのような強い症状は、

出なくなりましたが、ここ一年ほどで

体重が3㎏ほど減ってしまいました。

内科にて検査をしましたが、特に異常は

ありません。

体重の減少と伴に肌が乾燥気味になり、

髪の毛の艶がなくなり細くなったそうです。

そして困る事は、明け方に微熱と寝汗が

出るようになった事です。

 

Pさんは更年期症状がありました。

女性ホルモンの減少に伴い症状があった

わけです。そして閉経に伴い強い症状は

目立たなくなりましたが、女性ホルモンの

減少はそのまま続いているのです。

Pさんの症状は更年期症状の延長にあると

考えて良いでしょう。

そしてpさんの症状の特徴は、身体が乾燥

してる事です。

体重の減少、肌に潤いが無くなった、

髪の毛が艶がなく細くなった等、

これは身体の乾燥なのです。

但し、これは誰にでも起こります。

加齢に伴う生理的現象なのです。

ところが明け方の微熱と寝汗は

生理的現象ではありませ。

病理的なものなので、漢方薬で治療をする

必要があります。

Pさんは51歳の頃から更年期症状が発生し、

53歳で閉経になりました。

飛行機で言えば、着陸態勢に入り滑走路に

着陸するまで、更年期症状がでた事になります。

ここ漢方では、陰陽のバランスで考えます。

加齢とともに陰陽の絶対量も減少していきます。

そこでバランス良く減って行くのが理想なの

ですが、皆さんなかなかそのようには行きません。

特に陽の減少に比べて陰のほうが減少幅が

大きくなります。

そうしますと過剰な陽の熱エネルギーが

ホットフラッシュや足底の火照りになるのです。

Pさんの明け方の微熱と寝汗も同じ理屈になります。

 

そこでPさんの漢方治療は、

陰陽のバランスを取ることになります。

但し、年齢や素体の強弱により、

様々なバリエーションが用意されています。

そこで『傷寒論』と言う書籍に次のような

記載があります。

「傷寒、五六日、已に汗を発し、而も復之を下し、

胸脇満微結、小便不利し、渇して嘔せず、

但頭汗多く、往来寒熱、心する者は、此れ未だ

解せずとな為すなり、柴胡姜桂湯之を主る。」

この条文は、正しく陰陽のバランスが乱れて

陽の熱が身体の水分を消耗して行く中で、

渇いていく過程に起こる病症について

述べています。

さらに『金匱要略・瘧病編』を見ますと、

「柴胡姜桂湯は、瘧、寒多くして、微に熱あり、

但寒して熱せざるを治す。」とあります。

ここでの瘧の如く微にある熱が、

Pさんの明け方の微熱と寝汗に通じるのです。

そこでPさんに柴胡姜桂湯を煎じて服用して

頂きました。

4週間の服用で微熱に伴う寝汗は、ほぼ

気にならなくなりました。

更に2週間分を服用して廃薬としました。

Pさんが気になさっている体の乾燥は、

誰にでも起こってくるものであり、

漢方薬の服用で若返るものではありません。

但し日常生活の食事は大切になります。

どうしても年齢と伴に動物性たんぱく質

の摂取が減ってきます。

無理のない範囲でお肉は食べられた方が、

身体の乾燥には良いのです。

最近、地中海料理が見直されていますが、

オリーブオイルや亜麻仁油などの油も

加齢に伴う身体の乾燥の程度を和らげる

には必要でしょう。

 

このように更年期障害における、

漢方治療はまず「有余の血」と「損傷の血」

に分類し、そしてそれぞれの症状の特性に

合わせて処方組む事がとても重要な事です。

 

カンポウ コラージュ

漢方研究会 コラージュ

代官山 東京

戸田一成

 

 

カンポウ コラージュ

漢方研究会 コラージュ

代官山 東京

戸田一成

 

 

 

 

 

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